発酵のある暮らし ① 味噌作り
帰国して挑戦したかったことの一つ、それは味噌作りでした。
今年も、そんな念願のチャンスに恵まれ、約10キロの味噌を仕込むことに。
実は家族の歴史を辿ると、祖父は政治家としての道を終え、当時日本の領土だった満州国へ渡り、「味噌醤油醸造所」を営んでいました。まだ幼い7人の子どもを連れて、異国の地で新たな挑戦をするというのは、並大抵のことではなかったはずです。
味噌と醤油──日本の食文化に欠かせない調味料たちが、人口の増えていた当時の満州で、人々の食卓を支えていた光景を想像します。その裏には、ものづくりへの情熱と家族への愛情があったのでしょう。喜びや勇気を食卓に届けた祖父母の存在を、私はとても誇りに思います。
さて、話を今に戻して──
初めての味噌作り体験ということで、材料や道具の準備、仕入れ先などは家族に手配してもらいました。とはいえ、実は今年で2回目の味噌作り。昨年仕込んだ味噌は、残りわずかとなりました。熟成中の味噌は、大切に冷蔵庫で保管しています。仕込んだ当初は白味噌だったものが、今では醤油のようなキャラメル色へと変わり、コク深く育っています。いつかは2年、3年と熟成させてみたいという夢も。手作りの味噌は、本当に美味しいです。
今回の材料は、こちら:
白味噌
大豆(たっぷりの水に一晩浸ける)
塩
米麹
大豆を圧力釜でやわらかく煮て、ミンサーで潰して冷まします。
その間に、米麹と塩を合わせ、冷めた大豆と混ぜ合わせて団子状に。そして空気を抜くように容器に詰め、最後に塩で蓋をして仕込み完了。
この味噌はこれから床下の倉庫で、6ヶ月かけてじっくり発酵・熟成していきます。
ちなみに仕込みの際には、焼酎で手を消毒しますが、手の常在菌と発酵の菌との相性によって、同じ材料・同じ工程でも味や香りに違いが出るそうです。6ヶ月後、蓋を開けたときにカビが生えている場合もあれば、表面がつやつやで美しい仕上がりになることも。味噌の世界、奥が深くて本当に面白いですね。
今回も子どもたちにも手伝ってもらい、つまみ食いをしながらワイワイと楽しく仕込むことができました。きっとこの味噌も、思い出の味として心に残っていくのでしょう。
ところで、皆さんのご家庭では何味噌を使っていますか?