カモミールの満ちる畑で
五月の終わり、気まぐれな空模様の合間に差し込む、まばゆい光。
空にひびが入ったかのように、突如として太陽が姿を現し、手を翳したくなるほどの強い輝きが大地を包みました。気温は30度を越え、予定されていたHapy*age Farmのカモミール収穫祭は、まるで太陽と約束を交わしていたかのように、予定通り執り行われました。
今年は新たにカモミールだけの畑が広がり、その豊穣さは、人の手を惜しまずともなお追いつかないほど。
摘まれた花々が「プチプチ」と小さな音を奏でながら籠に積み重なるたび、やわらかく、甘く、どこか気品のある香りが畑を満たし、まるで目に見えないドームのように包み込みます。
陽光に背を押されるように、ただただ無心で花を摘む。そこには時間という概念が溶けていくような、静かで濃密なひとときが流れていました。
差し入れの朝摘みハーブウォーターが喉を潤し、流れる汗に、いま自分が自然の中にいることを改めて実感する。
丹念に耕された大地、惜しみなく降り注ぐ陽の光。そうして育ったカモミールは、力強さとともに、繊細な優雅さを纏っていました。
手を動かすたびに感じるのは、ひとつひとつに宿る目には見えぬ力。愛とエネルギーが、作者の手から植物へと静かに受け渡されていく、その瞬間の尊さ。
言葉では捉えきれない豊かさが、空間にも心にも、そっと満ちていくのです。
この日に摘まれたカモミールは、ゆっくりと時間をかけて乾燥され、やがてIIVYCOASTの石鹸の中に溶け込みます。
この季節の記憶と香りが、手のひらに届く日を、どうか静かに楽しみにお待ちください。